北海道で生まれた私は、普段使う言葉や地名など、知らず知らずのうちにアイヌ文化に触れて育ってきました。私が幼いころ住んでいた家の近所には、かつてアイヌの人々が住んでいた住居跡がありました。また、その頃母や祖母からアイヌ民話などを聴かされた記憶もあります。 この作品を描くにあたり改めてアイヌのことについて調べると、大自然と真っ向から対峙し、たくましく生きてそこから得る恵みを尊ぶアイヌの人々の姿勢に感銘を受けました。動物を神と崇め、次世代まで資源を守り続ける精神は素敵だと思いました。 この物語は、東北や北陸地方に伝わる"しっぽでお魚を釣る"という民話からヒントに生れました。人間には無い"しっぽ"をテーマに想像を膨らませ、シンプルで子どもたちがわくわくす るようなストーリーになるよう創作しました。 私は子どもの頃から絵を描くことが大好きでしたが、社会に出てからは仕事に追われていたため、50歳に近づいた頃からコンテスト等に応募するようになり、少しずつ活動を始めました。 この度、このような光栄な賞を授かり、製本の機会まで与えていただいたことは感謝の念に堪えません。 この本を読む子どもたちは、これから多くの人と出逢うでしょう。アイヌの方々の精神のように、共存することの大切さを大人になっても持ち続けていただきたいと思います。 そして、温かい社会をさらに次世代へと繋げてもらえることを願っております。 |
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平成28年度「幼児向け絵本」原作募集について
この事業は、アイヌの伝統などを内容とした幼児向け絵本の原作を募集し、優れた作品を表彰するとともに、アイヌの歴史や文化について知識の普及啓発を図ることを目的に行われております。 平成28年度の「幼児向け絵本」原作募集は平成28年6月から10月初旬まで行われ、計15点の応募作品が集まりました。応募いただいた作品は6名の選考委員により厳正に審査され、その中から最優秀賞1作品、入選2作 品、奨励賞4作品が選出されました。 そして、最優秀賞に選出された原作を補作し、平成28年度の幼児向け絵本『しっぽ沼』が完成しました。 |
受賞作品
| 最優秀賞 |
しっぽ沼 |
北海道 |
多羽田 勝 |
| 入選 |
スズメのカムイノミ |
愛知県 |
平本 貴子 |
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怪鳥フリューのはなし |
東京都 |
小林 大悟 |
| 奨励賞 |
エタシベ |
埼玉県 |
辻角 元 |
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いただく |
茨城県 |
時崎 清 |
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大空に描いたコタン |
東京都 |
斉藤 保雄 |
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ミントウチカムイのものがたり |
北海道 |
椎谷 朋郁 |
選考委員(50音順・敬称略)
磯部 恵津子 (白糠アイヌ文化保存会会長) |
杉浦 篤子 (藤女子大学人間生活学部保育学科教授)
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乾 芳宏 (前・余市水産博物館館長) |
杉山 一夫 (公益財団法人ふきのとう文庫評議員) |
加藤 忠 (公益社団法人北海道アイヌ協会理事長) |
八幡 巴絵 (一般財団法人アイヌ民族博物館学芸課係長) |
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